図鑑
人物図鑑
ビットコインの歴史を動かした人たち
中級者向け ・ くわしく読みたい人へ
ビッツ
ここからは中級者向け ! 歴史に登場する人たちを、くわしく紹介するよ。
ビッツ
名前やできごとでさがす か、分類ボタンで絞りこめるよ。まずは「先駆者」と「誕生と初期」がおすすめ。カードの「関連」から、章やプロジェクトにも飛べるよ。
すべて 先駆者 誕生と初期 取引所と事件 開発者 広がり
35人を表示中
名前の一覧から選ぶ(35人) デビッド・チャウム アダム・バック ウェイ・ダイ ニック・サボ ハル・フィニー サトシ・ナカモト ラズロ・ハニエツ ジェレミー・スターディバント ギャビン・アンドリーセン マイク・ハーン ジェフ・ガージック ジェド・マケーレブ マルク・カルプレス 小林信明 ロス・ウルブリヒト サム・バンクマン=フリード ウラジミール・ファン・デル・ラーン ピーター・ウィール グレゴリー・マクスウェル ルーク・ダッシュジュニア アンドリュー・チョウ マット・コラロ ジョセフ・プーン タデウス・ドライジャ エリザベス・スターク ピーター・トッド アミール・ターキ トーマス・フォークトリン ニコラ・ドリエ アンドレアス・アントノプロス ヴィタリック・ブテリン マイケル・セイラー ナジブ・ブケレ ラリー・フィンク ドナルド・トランプ
「 」に当てはまるカードは見つかりませんでした。ひらがな・カタカナや、短い言葉でもさがせます。
No.01 先駆者
デビッド・チャウムDavid Chaum
暗号学者 1980年代〜
「追跡されないデジタル現金」を最初に形にした暗号学者。
店や銀行に「だれが何を買ったか」を知られずに支払える電子マネーを、暗号の数学で実現しようとした。1982年に発表した「ブラインド署名」は、中身を見ずに署名だけを与える仕組みで、のちのプライバシー技術の土台になった。
年表
1982年 論文「追跡できない支払いのためのブラインド署名」を発表 1990年ごろ オランダで DigiCash 社を設立し、電子マネー「eCash」を開発 1990年代半ば 米国の銀行と組んで eCash を試験運用 1998年 DigiCash が倒産 ここがポイント
中央の会社が発行・管理する設計だったため、会社の倒産とともに終わった。 この「中央の弱点」をなくすことが、のちのビットコインの出発点の1つになった。 プライバシーを暗号で守る、という考え方の元祖だよ。
No.02 先駆者
アダム・バックAdam Back
暗号学者 Hashcash Blockstream
プルーフ・オブ・ワークの原型「Hashcash」の考案者。
1997年、迷惑メール対策として、メールを送る側に小さな計算をさせる Hashcash を発表した。「計算した証拠」を相手が一瞬で確かめられるこの仕組みは、ビットコインのマイニングの直接の原型になり、ビットコイン論文でも参考文献として引用されている。
年表
1997年 Hashcash をサイファーパンクのメーリングリストで発表 2008年 論文の公開前に、サトシから連絡を受けたと語っている 2014年 Blockstream 社を共同創業し、CEO に ここがポイント
Hashcash は「ハッシュの先頭がゼロで始まる値を探す」という、ビットコインと同じ考え方。 Blockstream は Core Lightning やサイドチェーン「Liquid」などを開発している。 マイニングの「計算競争」は、迷惑メール対策から生まれたんだ!
No.03 先駆者
ウェイ・ダイWei Dai
プログラマー b-money Crypto++
管理者のいないお金「b-money」を構想した人。
1998年に b-money を提案。参加者全員が帳簿を持ち合い、計算の手間でお金を生み出すというアイデアは、ビットコインの設計にとても近い。ビットコイン論文の参考文献の1番目は b-money である。暗号ライブラリ「Crypto++」の作者としても知られる。
年表
1995年 暗号ライブラリ Crypto++ を公開 1998年 b-money を提案 2008年 サトシから論文についてのメールを受け取った ここがポイント
イーサリアムの最小単位「wei」は、彼の名前にちなむ。
No.04 先駆者
ニック・サボNick Szabo
法律家・計算機科学者 bit gold スマートコントラクト
「bit gold」と「スマートコントラクト」の考案者。
計算の結果を金(ゴールド)のように「掘り出し」、希少なデジタル資産にする bit gold を1998年ごろに構想し、2005年にブログで詳しく書いた。1990年代には、契約をプログラムで自動的に実行する「スマートコントラクト」という言葉と考え方を広めた。
年表
1990年代 スマートコントラクトの考え方を提唱 1998年ごろ bit gold を構想 2005年 bit gold についてブログで発表 ここがポイント
bit gold は実装されなかったが、ビットコインに非常によく似ている。 サトシの正体として名前が挙がることがあるが、本人は否定している。 「スマートコントラクト」は、のちのイーサリアムの中心になる考え方だよ。
No.05 先駆者
ハル・フィニーHal Finney
暗号学者 1956〜2014年 最初の受け取り手
ビットコインを最初に受け取った人。
暗号ソフト PGP の開発に早くから関わった暗号学者。2004年に、プルーフ・オブ・ワークを使い回せるトークンにする RPOW を公開した。2009年1月、サトシから10BTCを受け取り、史上初のビットコイン送金の相手になった。同じ年に ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断され、2014年に亡くなった。
年表
1990年代 PGP の開発に参加 2004年 RPOW を公開 2009年1月 ソフトを動かし、サトシから10BTCを受け取る(ブロック170) 2014年 死去 ここがポイント
論文が公開された直後から、技術的な意見を出した最初期の協力者の1人。 残した言葉(2009年1月 のツイート)
Running bitcoin
和訳:ビットコインを動かしている
資料:「Running bitcoin」のツイート ↗
No.06 誕生と初期
サトシ・ナカモトSatoshi Nakamoto
ビットコインの生みの親 正体不明 2008〜2011年
ビットコインを設計し、最初のソフトを書いた人物(または集団)。
2008年10月31日に論文を発表し、2009年1月に最初のソフト(v0.1)を公開した。2010年まで開発と掲示板での議論を率いたが、少しずつ役割をほかの開発者に任せ、2011年春のメールを最後に連絡を絶った。日本人風の名前だが、英語は非常に自然で、正体は今も分かっていない。
年表
2008年10月 論文「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System」を発表 2009年1月 ジェネシスブロックを作り、v0.1 を公開 2010年12月 掲示板への投稿が途絶える 2011年4月 「ほかのことに移った」というメールを開発者に送る ここがポイント
初期にマイニングしたとされる約100万BTCは、一度も動いていないとみられている。 自分がサトシだと名乗った人もいたが、2024年にイギリスの裁判所が、そのうちの1人について「サトシではない」と判断した。 最小単位の「サトシ(1億分の1BTC)」は、この名前にちなむ。 残した言葉(2008年10月31日 のメール)
I've been working on a new electronic cash system that's fully peer-to-peer, with no trusted third party.
和訳:信頼できる第三者をまったく必要としない、完全にピアツーピアの新しい電子マネーの仕組みに取り組んできました。
正体が分からないからこそ、ビットコインは「だれのものでもない」んだ。
資料:論文(PDF) ↗ サトシの文章のアーカイブ ↗
No.07 誕生と初期
ラズロ・ハニエツLaszlo Hanyecz
プログラマー ピザ・デー GPUマイニング
1万BTCでピザ2枚を買った人。
2010年5月、掲示板 bitcointalk で「1万BTCでピザ2枚を届けてほしい」と呼びかけ、5月22日に取引が成立した。ビットコインで現実の物が買われた最初の記録として知られ、毎年5月22日は「ビットコイン・ピザ・デー」と呼ばれる。
年表
2010年5月18日 bitcointalk に「Pizza for bitcoins?」を投稿 2010年5月22日 ピザ2枚と1万BTCの交換が成立 2010年 グラフィックボード(GPU)でのマイニングを最初期に実装したとされる ここがポイント
GPU マイニングで計算力が一気に上がり、マイニングの競争が激しくなるきっかけの1つになった。 残した言葉(2010年5月22日 bitcointalk)
I just want to report that I successfully traded 10,000 bitcoins for pizza.
和訳:1万ビットコインとピザの交換に成功したことを、報告します。
資料:ピザのスレッド ↗
No.08 誕生と初期
ジェレミー・スターディバントJeremy Sturdivant(jercos)
ピザを届けた人 2010年
ラズロの呼びかけに応じて、ピザ2枚を手配した人。
掲示板のユーザー名は jercos。お店にピザ2枚を注文してラズロの家に届けてもらい、かわりに1万BTCを受け取った。ピザ代は約25ドルだったとされる。
年表
2010年5月22日 ピザを手配し、1万BTCを受け取る ここがポイント
ビットコインを「お金として受け取った」最初期の1人でもある。 もらったビットコインは、そのあと使ってしまったらしいよ。
No.09 誕生と初期
ギャビン・アンドリーセンGavin Andresen
開発者 Bitcoin Faucet 2010〜2014年のリーダー
サトシから開発のかじ取りを引き継いだ開発者。
2010年、訪れた人に無料でビットコインを配るサイト「Bitcoin Faucet」を作った。サトシが表舞台を去るころから開発の中心となり、2012年に設立されたビットコイン財団でも中心的な役割を担った。2014年、メンテナーの役目をウラジミール・ファン・デル・ラーンに引き継いだ。
年表
2010年 Bitcoin Faucet を公開 2010〜2011年 サトシから開発のかじ取りを引き継ぐ 2014年4月 リードメンテナーをファン・デル・ラーンに譲る 2015年 ブロックサイズの拡大を主張し、Bitcoin XT を支持 ここがポイント
サトシは最後のメールで「ギャビンやみんなに任せておけば大丈夫」と書いている。 「蛇口(Faucet)」からビットコインが出てくるサイト、楽しいよね。
No.10 誕生と初期
マイク・ハーンMike Hearn
開発者 bitcoinj
Java のライブラリ「bitcoinj」を作った初期の開発者。
Google のエンジニアだったころからビットコインの開発に関わり、スマホなどの軽いウォレットに使われた bitcoinj を作った。2011年4月、サトシから「ほかのことに移った」というメールを受け取った人物でもある。のちにブロックサイズ論争で大きなブロック派として活動し、2016年に「ビットコインの実験は失敗した」と書いて開発から離れた。
年表
2011年 bitcoinj を開発 2011年4月 サトシから最後とされるメールを受け取る 2015年 ギャビンとともに Bitcoin XT を推進 2016年1月 ビットコインの開発から離れると表明 ここがポイント
初期の Android ウォレットの多くが bitcoinj を使っていた。 残した言葉(2011年4月 サトシからのメール)
I've moved on to other things. It's in good hands with Gavin and everyone.
和訳:ほかのことに移ったよ。ギャビンやみんなに任せておけば大丈夫。
No.11 誕生と初期
ジェフ・ガージックJeff Garzik
開発者 初期のコア開発者
2010年から活躍した、初期のコア開発者の1人。
Linux カーネルの開発者として知られ、2010年からビットコインの開発に加わった。2010年8月の「1,840億BTC」のバグでは、異常なブロックを掲示板で報告したのが彼だとされている。のちに BitPay で働き、2016年にブロックチェーン企業 Bloq を共同創業した。
年表
2010年 ビットコインの開発に参加 2010年8月 異常なブロック(#74638)を報告したとされる 2016年 Bloq を共同創業 バグを早く見つけて知らせることも、オープンソースの大事な仕事だよ。
No.12 取引所と事件
ジェド・マケーレブJed McCaleb
起業家 マウントゴックス創設 Ripple・Stellar
取引所マウントゴックスを作った人。
ファイル共有ソフト eDonkey2000 の開発者として知られる。2010年7月、もともとトレーディングカード交換サイトの名前だった「Mt.Gox」をビットコイン取引所として作り直し、ドルとビットコインをかんたんに交換できるようにした。2011年にマルク・カルプレスへ売却。その後、Ripple と Stellar を共同創業した。
年表
2000年 eDonkey2000 を開発 2010年7月 マウントゴックスを開設 2011年3月 カルプレスに売却 2012年 Ripple(当時 OpenCoin)を共同創業 2014年 Stellar を共同創業 ここがポイント
マウントゴックスの名前は、カードゲーム「マジック:ザ・ギャザリング」の交換所に由来する。 取引所の生みの親。でも事件の前に手放していたんだ。
No.13 取引所と事件
マルク・カルプレスMark Karpelès
マウントゴックス元CEO 2011〜2014年
マウントゴックスを経営していたフランス人プログラマー。
2011年にマウントゴックスを買い取り、東京・渋谷を拠点に世界最大の取引所へ育てた。2014年2月、約85万BTCの消失とともに取引所は破綻。2015年に逮捕され、2019年の東京地裁判決では、取引システムのデータを改ざんした罪で有罪(執行猶予付き)となった。顧客の資産を横領した罪については無罪とされた。
年表
2011年 マウントゴックスを買い取る 2014年2月 引き出し停止、民事再生法の適用を申請(のち破産) 2015年8月 警視庁に逮捕される 2019年3月 東京地裁が一部有罪(懲役2年6か月・執行猶予4年)、横領は無罪と判断 ここがポイント
消失の原因は、長年にわたる外部からのハッキングとずさんな管理とされている。 この事件がきっかけで、日本はいち早くルール作りに動いたんだ。
No.14 取引所と事件
小林信明Nobuaki Kobayashi
弁護士 マウントゴックスの管財人
マウントゴックスの手続きで、債権者への返済を担った管財人。
マウントゴックスの破産手続き、そして2018年に始まった民事再生手続きで管財人を務める弁護士。手続きの途中で見つかった約20万BTCなどをもとに、債権者への返済を進め、2024年7月からビットコインなどでの返済が始まった。
年表
2014年 破産管財人に就任 2018年 民事再生手続きが始まり、再生管財人に 2024年7月 債権者への返済が始まる ここがポイント
10年がかりの後始末。歴史の「その後」も大事なんだ。
No.15 取引所と事件
ロス・ウルブリヒトRoss Ulbricht
シルクロード運営者 2011〜2013年
闇市場サイト「シルクロード」を運営していた人物。
2011年、匿名ネットワーク上でビットコインを使って違法な薬物などを売買できるサイト「シルクロード」を開設した。2013年10月に FBI に逮捕され、サイトは閉鎖。2015年に終身刑を言い渡されたが、2025年1月に恩赦を受けて釈放された。
年表
2011年2月 シルクロードを開設 2013年10月 FBI に逮捕され、サイトが閉鎖 2015年 終身刑の判決 2025年1月 トランプ大統領の恩赦で釈放 ここがポイント
捜査では、ブロックチェーン上の取引記録が証拠として使われた。 押収されたビットコインの一部は、2014年に米国の連邦保安官局の競売にかけられた。 「ビットコインは追跡しやすい」ことを示した事件でもあるよ。
No.16 取引所と事件
サム・バンクマン=フリードSam Bankman-Fried
FTX 創業者 2019〜2022年
破綻した大手取引所 FTX の創業者。
2017年にトレーディング会社 Alameda Research を、2019年に取引所 FTX を設立し、短期間で世界有数の取引所に育てた。2022年11月、顧客から預かった資金を関連会社に流用していたことが明らかになり、FTX は破綻。2023年11月に詐欺などの罪で有罪となり、2024年3月に禁錮25年の判決を受けた。
年表
2017年 Alameda Research を設立 2019年 FTX を設立 2022年11月 FTX が破産を申請 2023年11月 米国の裁判所で有罪の評決 2024年3月 禁錮25年の判決 ここがポイント
マウントゴックスと同じく、壊れたのは「預かる会社」で、ビットコイン自体ではなかった。 「Not your keys, not your coins」を、もう一度思い出させた事件だね。
No.17 開発者
ウラジミール・ファン・デル・ラーンWladimir J. van der Laan
Bitcoin Core 2014〜2021年のリードメンテナー
長くBitcoin Core のリードメンテナーを務めた開発者。
2011年ごろから、ウォレットの画面(Bitcoin-Qt)の開発に加わった。2014年にギャビン・アンドリーセンからリードメンテナーの役目を引き継ぎ、ブロックサイズ論争や SegWit の時期を含む約7年間、Bitcoin Core のリリースを取りまとめた。2021年に役目から退いた。
年表
2011年ごろ Bitcoin-Qt の開発に参加 2014年4月 リードメンテナーに 2021年 リードメンテナーの役目から退く ここがポイント
特定の1人に権限が集まらないよう、メンテナーの役割を分散させる流れを作った。 目立たないけど、長い間ビットコインを支えた人なんだ。
No.18 開発者
ピーター・ウィールPieter Wuille
Bitcoin Core SegWit Taproot libsecp256k1
SegWit や Taproot など、ビットコインの重要な改良を設計した開発者。
ベルギー出身。2011年ごろから Bitcoin Core に貢献し、HD ウォレット(BIP32)、署名ライブラリ libsecp256k1、SegWit(BIP141)、Schnorr 署名と Taproot(BIP340・341)、Miniscript など、今のビットコインの中核の多くに関わった。2014年に Blockstream を共同創業した。
年表
2012年 BIP32(HDウォレット)を提案 2013年ごろ libsecp256k1 の開発を始める 2015〜2017年 SegWit を設計 2018〜2021年 Schnorr 署名と Taproot を設計 2019年 Miniscript を発表 ここがポイント
1つの種(シード)から無数の鍵を作れる BIP32 は、今のほぼすべてのウォレットの土台。 今のビットコインの「中身」は、この人の設計だらけだよ。
資料:BIP32 ↗
No.19 開発者
グレゴリー・マクスウェルGregory Maxwell
Bitcoin Core CoinJoin Taproot の発案
プライバシー技術を数多く提案した開発者。
Bitcoin Core の主要な開発者の1人。2013年に、複数人の取引を1つにまとめて送り手と受け手の対応を分かりにくくする「CoinJoin」を提案した。金額を隠す「Confidential Transactions」も提案し、2018年には Taproot の元になるアイデアを発表した。Blockstream の共同創業者でもある。
年表
2013年 CoinJoin を提案 2014年 Blockstream を共同創業 2015年 Confidential Transactions を提案 2018年1月 Taproot のアイデアを発表 ここがポイント
CoinJoin の考え方は、JoinMarket など多くのプライバシーツールに使われている。
No.20 開発者
ルーク・ダッシュジュニアLuke Dashjr
Bitcoin Core BIP2 Bitcoin Knots
BIP のルールを整え、Bitcoin Knots を作った古参の開発者。
2011年ごろから開発に関わる古参の1人。改良提案の進め方を決めた BIP2 を書き、長く BIP の編集役を務めた。Bitcoin Core に独自の機能や設定を加えたノードソフト「Bitcoin Knots」を作り、維持している。初期のマイニングプール Eligius の運営にも関わった。
年表
2011年ごろ 開発に参加、マイニングプール Eligius の運営に関わる 2016年 BIP2(BIP の進め方)を発表 2023年初め 自身のビットコインの多くを盗まれたと公表 ここがポイント
Knots は、ブロックに入れるデータの扱いなどで Core より厳しい設定を選べる。 考え方の違うソフトを選べるのも、オープンソースのいいところ。
No.21 開発者
アンドリュー・チョウAndrew Chow
Bitcoin Core PSBT ウォレット
PSBT を提案し、Bitcoin Core のウォレットを支える開発者。
2017年、署名前の取引を複数の機器や人のあいだで受け渡すための形式「PSBT」(BIP174)を提案した。ハードウェアウォレットやマルチシグ(複数の鍵での署名)の使い勝手を大きく改善した。Bitcoin Core では、ウォレットの仕組みを「ディスクリプター」に移す作業などを進め、メンテナーも務める。
年表
2017年 BIP174(PSBT)を提案 2021年 Bitcoin Core でディスクリプター・ウォレットが使えるように ここがポイント
PSBT のおかげで、オンラインのPCとオフラインの機器を分けて安全に署名できる。 ハードウェアウォレットを使うなら、お世話になっている技術だよ。
資料:BIP174 ↗
No.22 開発者
マット・コラロMatt Corallo
Bitcoin Core Compact Blocks LDK
ブロックの伝わり方を速くし、LDK を始めた開発者。
2011年ごろから Bitcoin Core に貢献。ブロックをすばやくネットワークに広める「Compact Blocks」(BIP152)や、マイナー向けの高速中継ネットワーク FIBRE などを手がけた。2018年ごろにライトニングのライブラリ rust-lightning を始め、これがのちの LDK になった。
年表
2011年ごろ Bitcoin Core に貢献を始める 2016年 BIP152(Compact Blocks) 2018年ごろ rust-lightning(のちの LDK)を始める ここがポイント
ブロックが速く伝わると、マイナー間の不公平が減り、ネットワークが安定する。 「速く伝える」工夫も、ビットコインを守ることにつながるんだ。
No.23 開発者
ジョセフ・プーンJoseph Poon
ライトニングの論文
ライトニングネットワークの論文の共著者。
タデウス・ドライジャとともに、ブロックチェーンの外で少額の支払いを高速にやりとりする「ライトニングネットワーク」の論文を書いた。2015年に草稿が公開され、2016年1月に改訂版が出た。のちにヴィタリック・ブテリンとイーサリアム向けの「Plasma」を提案した。
年表
2015年 ライトニングの論文の草稿を公開 2016年1月 改訂版を公開 2017年 Plasma を共同提案 ここがポイント
支払いチャネルをつなげて、途中の人を信頼しなくても送金できる仕組みを示した。 少額をすばやく送る未来は、この論文から始まったよ。
No.24 開発者
タデウス・ドライジャThaddeus Dryja
ライトニングの論文 Utreexo
ライトニングの論文の共著者で、Utreexo の考案者。
ジョセフ・プーンとライトニングネットワークの論文を書いた。のちに MIT のデジタル通貨イニシアチブで研究を続け、2019年に、ノードが保存すべきデータを大幅に減らす「Utreexo」を提案した。
年表
2015〜2016年 ライトニングの論文を共著 2019年 Utreexo を提案 ここがポイント
Utreexo が実用化されれば、スマホのような小さな機器でもフルノードに近い検証ができるようになる。 「だれでもノードを動かせる」ことを大事にしている研究者だよ。
No.25 開発者
エリザベス・スタークElizabeth Stark
Lightning Labs CEO LND
ライトニングの実装 LND を作る Lightning Labs の共同創業者・CEO。
インターネットの法律や政策を大学で教えたのち、2016年にオラオルワ・オスントクンと Lightning Labs を共同創業した。同社は、ライトニングの代表的な実装の1つ LND を開発し、2018年にメインネットで公開した。ライトニング上で別の資産を扱う Taproot Assets も手がけている。
年表
2016年 Lightning Labs を共同創業 2018年3月 LND をメインネット向けにベータ公開 ここがポイント
LND は Go 言語で書かれ、多くのウォレットやサービスの裏側で使われている。 ライトニングを「みんなが使えるもの」にした立役者の1人だよ。
No.26 開発者
ピーター・トッドPeter Todd
開発者 BIP65 OpenTimestamps
時間ロックや RBF などを提案した開発者。
「この時刻まで使えない」という条件をつける CHECKLOCKTIMEVERIFY(BIP65)を提案し、ライトニングなどの土台を作った。手数料を上げて取引を差し替える RBF(BIP125)の共著者でもあり、ブロックチェーンに時刻の証明を残す OpenTimestamps を作った。2024年のドキュメンタリーでサトシだと名指しされたが、本人は否定している。
年表
2014〜2015年 BIP65(CHECKLOCKTIMEVERIFY)を提案 2015年 BIP125(オプトイン RBF)を共著 2016年 OpenTimestamps を公開 ここがポイント
時間ロックは、ライトニングの「期限までに払い戻せる」仕組みに欠かせない。 サトシ候補にされて、本人はかなり困っていたみたい。
No.27 開発者
アミール・ターキAmir Taaki
BIP1 libbitcoin
BIP の仕組みを作った人。
2011年、ビットコインの改良を提案・議論するための書式と手順「BIP」を、BIP1 として定めた。Bitcoin Core とは別の実装を目指すライブラリ libbitcoin を作り、2014年にはプライバシーを重視したウォレット「Dark Wallet」の開発に関わった。
年表
2011年 BIP1 を公開 2011年ごろ〜 libbitcoin を開発 2014年 Dark Wallet の開発に参加 ここがポイント
BIP の仕組みは、インターネットの RFC やPythonの PEP にならったもの。 「みんなで改良を話し合う」ルール作りの第一歩だね。
資料:BIP1 ↗
No.28 開発者
トーマス・フォークトリンThomas Voegtlin
Electrum の作者
軽量ウォレット Electrum の作者。
2011年に Electrum を公開した。ブロックチェーン全体をダウンロードせずに使える軽いウォレットで、種(シード)の単語からウォレットを復元する考え方を早くから取り入れた。現在も Electrum Technologies 社で開発を続けている。
年表
2011年 Electrum を公開 2020年 Electrum 4.0 でライトニングに対応
No.29 開発者
ニコラ・ドリエNicolas Dorier
BTCPay Server NBitcoin
自分で運営できる決済サーバー BTCPay Server の作者。
.NET 向けのビットコインライブラリ NBitcoin の作者。2017年、ある決済会社と意見が分かれたことをきっかけに、お店が手数料なしで自分でビットコイン決済を受け付けられる「BTCPay Server」を作り、オープンソースで公開した。
年表
2014年ごろ〜 NBitcoin を開発 2017年 BTCPay Server を公開 ここがポイント
第三者の決済会社を通さず、お店が自分の鍵で受け取れるのが特徴。 「預ける会社」を通さない決済、ビットコインらしいね。
No.30 開発者
アンドレアス・アントノプロスAndreas M. Antonopoulos
著述家・講演者 Mastering Bitcoin
技術書『Mastering Bitcoin』の著者。
ビットコインの仕組みを開発者向けに解説した『Mastering Bitcoin』を2014年に出版した。本はオープンなライセンスで公開され、改訂を重ねている。各地での講演や議会での説明などを通じて、ビットコインを広く伝えてきた。
年表
2014年 『Mastering Bitcoin』初版 2017年 第2版 2023年 第3版(David A. Harding と共著) ここがポイント
中級者が「中身」を学ぶなら、まず手に取られる定番の1冊。
No.31 広がり
ヴィタリック・ブテリンVitalik Buterin
イーサリアム考案者 Bitcoin Magazine
イーサリアムを考案した人。
2011年、まだ10代のころに Bitcoin Magazine を共同創刊し、記事を書いていた。ビットコインの上で複雑なプログラムを動かす難しさから、2013年に「プログラムを動かせるブロックチェーン」イーサリアムを構想し、2015年7月に稼働させた。
年表
2011年 Bitcoin Magazine を共同創刊 2013年 イーサリアムのホワイトペーパーを発表 2015年7月 イーサリアムが稼働 2022年 イーサリアムがプルーフ・オブ・ステークへ移行 ここがポイント
ビットコインが「お金」に絞って設計されているのに対し、イーサリアムは汎用性を選んだ。 ビットコインの記事を書いていた少年が、別のブロックチェーンを作ったんだ。
No.32 広がり
マイケル・セイラーMichael Saylor
Strategy(旧マイクロストラテジー) 企業の保有
会社のお金でビットコインを大量に買い続けた経営者。
ソフトウェア会社マイクロストラテジーの共同創業者。2020年8月、会社の現金をビットコインに替えはじめ、上場企業が資産としてビットコインを持つ流れの先がけになった。2022年に CEO から会長に退き、会社は2025年に社名を Strategy に変えた。
年表
1989年 マイクロストラテジーを共同創業 2020年8月 会社としてビットコインの購入を開始 2024年末 保有量が40万BTCを超える 2025年2月 社名を Strategy に変更 2026年10月 保有量が約85万BTCに。発行上限の約4% ここがポイント
社債や株の発行で資金を集めて買い増す手法は、賛否も含めて大きな注目を集めた。 「会社の金庫にビットコイン」という発想を広めた人だよ。
No.33 広がり
ナジブ・ブケレNayib Bukele
エルサルバドル大統領 法定通貨化
ビットコインを世界で初めて法定通貨にした国の大統領。
2019年からエルサルバドルの大統領。2021年6月にビットコイン法を成立させ、9月7日から法定通貨とした。政府のウォレット「Chivo」を配り、国としてビットコインを買い増した。日常の支払いでの利用はあまり広がらず、国際通貨基金(IMF)との合意を受けて、2025年1月の法改正で店の受け入れ義務がなくなった。
年表
2019年 大統領に就任 2021年9月7日 ビットコインが法定通貨に 2024年12月 IMF と融資について合意 2025年1月 法改正でビットコインの受け入れが任意に ここがポイント
国家がビットコインを採用した最初の例として、良い面も悪い面も研究されている。 「国がビットコインを使う」実験は、世界中に注目されたんだ。
No.34 広がり
ラリー・フィンクLarry Fink
ブラックロック CEO 現物ETF
世界最大の資産運用会社のトップ。現物ETF でビットコインをウォール街へ。
資産運用会社ブラックロックの共同創業者で CEO。2017年にはビットコインを「マネーロンダリングの指標」と批判していたが、2024年1月に同社のビットコイン現物ETF を始め、のちに「デジタルゴールド」と呼ぶまでになった。
年表
1988年 ブラックロックを共同創業 2017年 ビットコインを強く批判 2024年1月 ビットコイン現物ETF の取引が始まる ここがポイント
伝統的な金融の中心にいる人の考えが変わったことは、時代の変化の象徴として語られる。 批判していた人が、ビットコインの商品を作るようになったんだ。
No.35 広がり
ドナルド・トランプDonald Trump
米国大統領 戦略的ビットコイン準備
押収したビットコインを国が持ち続ける大統領令に署名した米国大統領。
2019年には「ビットコインのファンではない」と発言していたが、2024年の選挙戦で暗号資産に好意的な姿勢に転じた。2025年3月、政府が押収したビットコインを売らずに保有する「戦略的ビットコイン準備」を作る大統領令に署名した。同年1月には、シルクロードのロス・ウルブリヒトに恩赦を与えている。
年表
2019年 ビットコインに否定的な発言 2025年1月 ロス・ウルブリヒトに恩赦 2025年3月 戦略的ビットコイン準備の大統領令に署名 ここがポイント
国がビットコインを「準備資産」として持つ動きは、ほかの国や地域の議論にも影響している。